声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている(1)優しい×優しい=尊い

※ネタバレ含みます。お気をつけください※


こんな人におすすめ

・人を悪く言う人や悪口が苦手な人
・温かいものを欲している人
・他人に優しくできない人

作品概要

作品名:声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている(1)
作者:矢村 いち
出版社:秋田書店

あらすじ

失声症で声がだせない少女・真白 音が転校先の学校で出会ったのは、ぶっきらぼうだけど心の声が読める女の子・心崎 菊乃。
真白の噓偽りない心の声をすくい取り、不器用な優しさで真白を助ける心崎。
2人が織りなすまっすぐで優しい世界は、やがて周囲の人たちを温かく変えていく。
声がだせない少女と心が読める少女が織りなす、優しい世界の以心伝心コメディ。

おすすめ見どころポイント3選

①優しすぎる少女たち

真白 音
失声症でクラスメイトとのコミュニケーションが上手くいきません。
上手くいかないのは自分の声が出ないせいだと自分を責めながら思い悩みます。
ピュアでまっすぐな子。
無意識に普段不愛想な心崎を赤面させる能力(?)を兼ね備えています。
心崎 菊乃
人の心が聞こえるという特殊な能力を持っています。
それによって聞きたくない声も聞こえてしまい、人との接触を避けてきました。
しかし、隣の席から聞こえてくる失声症の転校生の声が気になり、声をかけてしまいます。
口ではキツイことをいいながらも真白のことを心配しさりげなく助けてくれる子です。

②筆談

失声症で声がでないため真白は筆談なのですが、「おはよう」の一言をなかなか伝えられない姿やとっさの一言を伝えられない姿が切なくもあります。
文字で気持ちを伝えるのは難しいけれど、ノートに記されていく言葉の数々がとても大切で思い出になるものだと思います。

③自然と周りの人たちを優しい世界に巻き込む

優しさは伝染するとでもいうのでしょうか。
違うタイプの2人ですが、優しい×優しいで周りを優しい世界に巻き込んでいきます。
周りの人たちがもともと優しくないというわけでは決してないけれど、2人を見ている人たちがその空気感に引き込まれていってしまうんです。

個人的感想など

真白の一生懸命さに心打たれたり、心崎の不器用な優しさに微笑ましさを感じたりとても温かく優しい気持ちになれます。
人に対しての悪意がないだけでこんなにも穏やかに見ていられるのかと感心しました。
真白と心崎がお互いに「彼女は優しすぎる」と思っているところも素敵です。
真白の純粋で素直な言葉に心崎が赤面するシーンが所々あるのですが、普段ツンとしている少女の可愛らしい姿にキュンとしてしまいます。
少女と少女の友情は尊い。