映画『リトル・フォレスト 夏・秋』感想・田舎生活と「食」


リトル・フォレスト 夏・秋

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春夏秋冬の4部作のうちの夏編と秋編です。
好き嫌いが分かれそうな作品ですが、私は好きな映画でした。
ハラハラドキドキすることや次はどうなるの!?というワクワク感はありません。
そこにあるのは、自然に囲まれた田舎で生きる1人の女性の姿です。
終始穏やかに観ることができ、終わった後余韻が残ります。

※ネタバレ含みます。お気をつけください※



あらすじ

都会の生活に馴染めずふるさとである東北の小さな集落・小森に戻ってきたいち子。
スーパーやコンビニは近所になく、自ら育てた米や野菜や野山で採れる食材を使って毎日の食事を作り、自給自足の生活を送っている。
「食」と観点で田舎で生きるいち子の日常を描く。

みどころ

季節を感じる風景

映し出される田舎の風景映像がとても綺麗で癒されます。
夏は緑、秋は黄色といったところでしょうか。
木々や稲の色が鮮やかで季節の移ろいを感じることができます。

美味しそうな料理

ストーブの熱を利用したパン、甘酒、山で採ったグミの実のジャム、自家製野菜で作ったウスターソースやホールトマト、クルミご飯、イワナの南蛮漬けなどなど。
手間暇かけたて作られる料理がたくさん登場します。
お店で買えるものも買えないものも全部手作り。
田舎で暮らす人々の受け継がれた知恵や工夫、技術、そして新しいアイデアが詰まった料理は素朴でとても美味しそうです。

田舎生活の魅力と大変さ

都会暮らしの人が憧れる田舎でのスローライフ。
まさにその憧れの姿が描かれています。
自分で食べるものを自分で育て収穫。
野山にある自然の恵みを頂戴する。
そして自分の手で調理する。
毎日を丁寧に生きる。
自然と共存していく。
一方で気候に左右される収穫や作物のでき具合。
自然と共存する難しさも。

感想

セリフ少なく、主人公のナレーションでストーリーが進んでいくのが珍しいなと思いました。
主人公・いち子役を演じているのが橋本愛です。
落ち着いた声が映し出される自然の風景にマッチしています。
主人公のビジュアルが都会っ子ぽいのであまりハマり役ではないかなと思いましたが、麦わら帽子をかぶり、タオルを首に巻き田畑の仕事をしている姿にギャップを感じてそれはそれでよかったです。

田舎暮らしを知らない私にとってはほんの少しの期間だけ経験したい田舎生活が描かれていました。
自然に癒される、素朴で美味しそうな料理の数々、季節を感じる風景。

生きるために食べる。
食べるために食材を育てるまたは、野山で採るの繰り返し。
人間が生きていくための基本となる部分を再確認できる作品でした。