双子子育ては未経験だけど、双子経験者ではある私が思うこと

f:id:yu-zu_ki:20200527221154j:plain 双子を子育て中のパパやママの楽しみや苦労話はよく見かけるけど、育てられた側の話はあまり見かけないなと思ったので私が思うことをほんの一部、ほんの少しだけ綴っていきたいと思います。(私は双子どころか1人の子どもも育てたことがないので、現実はそんな甘くないと言われるかもしれませんが、双子経験者としての気持ちです)


双子の姉妹の昔話

30年以上前の話。私は姉より21分ほど遅れてこの世に生まれました。姉と私は双子の姉妹です。

双子というとよくあるのが比べられること。親から比べられることだってあります。ただ、私の両親からは私たち2人を比べるような言葉はほとんどなかったと思います。どっちが運動が得意、どっちの成績がいいというようなこと。
どちらかと言えば友達やその親に言われたことが多かったと記憶しています。「どっちが○○なの?」はよくある質問。「○○のほうが社交的だね」「○○のほうがアクティブだね」などなど。はっきり言って面倒くさかったです、はい。

これは私が勝手に思っていることですが、両親は私たち2人に「差」ができないように育ててきたのだと思います。一見、悪いことではないように思いますが、「差」ができないようにというのは私からすると「同じ」を押し付けられていたということだと感じることがありました。きっと本人たちは押し付けるなんてことは一切思っていないし、それがいいとこだと思っていたと思います。

生まれて数日後、母と姉は私を残して1週間ほど先に退院しました。その別々だった1週間ほどの期間の姉の写真はありません。私が退院して2人揃うまで写真を撮るなと父が言ったそうです。これは大人になってから聞いた話ですが、この行為に何の意味があるのかまったく理解できませんでした。

小学生の頃、姉の帰宅が遅く、母に叱られていました。私はそばでテレビを見ていたのですが、「聞いてるの?あんたも同じだからね!」と言われました。門限はなかったものの親が文句を言わない時間には帰りテレビを見ていただけなのに。叱られるようなことをしていないのにそのタイミングで叱られて意味がわかりませんでした。

どちらかがテスト勉強をしているときにどちらかがしていないと指摘されました。「○○はやってるよ、あなたはしなくていいの?」。テスト範囲が同じだからと言って同じように勉強しなくてはいけない意味がわかりませんでした。

高校受験が終わり同じ高校に行くことが決まったとき「安心した。高校までは同じところに行ってほしかった」と言っていました。勉強や成績のことはあまり言われたことがなかったけれど、学歴も同じにしたかったようです。

両親にとって私たち2人は「同じ」であることが大切だったのです。

双子は1セットではない

f:id:yu-zu_ki:20200527221233j:plain 同じ学校に通っていたころは、姉の交友関係もわかっていたし、何しているかも全部ではないけどだいたいわかっていました。友だちはいずれ両方の友だちになっていたので情報は筒抜けです。もちろんお互いに。

大学生になり初めてお互いにまったく知らない世界ができました。姉のことを知る人がいない世界。姉からしたら私のことを誰も知らない世界。のちのち話題として出すことはあったけれど、それでも姉のことを見たことがない人しかいません。(正確には中学が同じ、高校が同じという人がいたのだけど、あまりかかわりがなかった人だったので)姉とセットではない私。

その頃、親も一概に「同じ」を求めなくなりました。求めなくなったというより求められなくなったのでしょう。
私は、とても解放された気分になりました。何をしても、何をしなくても個人として見てもらえることが嬉しかったのです。
「同じ」は「当たり前」ではなかったのです。私と姉は1人と1人ではなく1セットとして見られていたんだと感じました。

今思うこと

両親はなぜ「同じ」を求めたのか(推測)

育ててくれた両親からしたら「差」ができることが私たち双子の子育ての失敗になると考えていたのかもしれません。というのも、外で比べられる私たちを知っていたから。年子でも比べられるのはありそうですが、それ以上に比べる対象が近すぎるから。
あからさまな優劣をつけられ、どちらかが可哀そうな思いをするなら「同じ」ほうがいいと考えたのではないかと思います。もちろん親のそれによって比べられることがなくなるなんてことはないけれど、私たちの場合は「どっちもそんなに変わらないよ」と返すことができる状況でした。おそらく両親も私たちのことで「どっちが○○なの?」という質問されることはたくさんあったでしょう。もちろん同じように育てられても思いっきり「差」ができる双子もいると思います。

今、両親に対して思うこと

このことで私は両親に対して今は何とも思っていません。それは今、無事に私たち姉妹がまったく違う人生を歩んでいるからです。そして、そのことに関して何も言われないからです。言いたくてももう口を出すことではないと思っているだけかもしれません。

姉は数年前に結婚し、子どもを産み育てて「家庭」を作っています。私はというと、独身で仕事して、ブログ綴って、好きなことをして「自分」を作っています。世間一般に言えば、私なんて「甘い」と言われそうな今です。それでも何も言うことはありません。

子育てしたことないけど言いたいこと

子育てに正解はないと言われますし、その通りだと思いますが、子育ての苦労を知らない私が1つだけ言いたいのは、「個人を大事に」ということです。あきらかな「差」ができて比べられる状況になってもそれは子育ての失敗ではなく、個人を大事にした結果だと思います。というか、双子が比べられないということはほぼありません。この子は○○が得意で、この子は△△が得意だよ、でいいのです。
本人たちが同じがいいと思えば、両親がそのようにしなくても勝手にそうなります。それはそれで見守ってあげればいいと思まいます。離れるときか必ずくるから。
親に「同じ」を求められた場合、反抗的な気持ちを持ちつつもそうならなければいけないのかなと思う私のような人間もいます。大きくなって「別に違ってもいいんだ」と気づくタイミングがあるかもしれません。でも、できるなら早くからそう気づかせてあげてほしいです。同じ日に同じ親から生まれてきただけで、双子だって1人と1人の人間です。せめて親だけは1セットなんていう風には捉えてほしくないと思います。