欠けた月とドーナッツ(1)恋愛に臆病で不器用な人に響く社会人百合漫画

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月はいつも満月なわけではない。ドーナッツは丸いけど穴が空いている。「欠け」は欠陥ではない。
タイトルに「月」が入っている最近1番おススメな百合漫画『欠けた月とドーナッツ(1)』を夕月がご紹介します。

※ネタバレ含みますのでお気をつけください※


こんな人におすすめ

・ 社会人百合が好きな方
・ 自分に自信がなくて恋愛に一歩踏み出せない方
・ 2人の関係の変化をじっくりと楽しみたい方

作品概要

タイトル:欠けた月とドーナッツ (1)
作者:雨水 汐
出版社:一迅社

あらすじ

おしゃれしてメイクして笑顔をつくること。そんな自分を守るものを身に着け、恋をする。それが「普通の女性」だと信じる宇野ひな子。その「普通」に憧れ努力するもうまくいかず自分のことを好きになれない。自分に自信を持つことができずに泣いているところを職場の先輩佐藤あさひに助けられる。そのことをきっかけに2人は距離を縮めていく。

おすすめ見どころポイント3選+1

①自分に自信がなくて変わろうと努力する主人公

主人公の宇野ひな子は本人曰く「何もかも平均以下」の女性。ファッション誌を教科書におしゃれして、メイクして恋をすれば「普通」になれると思っていて少しこじらせています。でも、こじらせているまではいかなくても、そういう人多いのではないでしょうか。20代半ばくらいまでの私がまさにそれでした。ファッション誌が教科書…わかる!恋ができなくて悩む…わかる!周りに合わせてばかり…わかる!変わりたい…わかる!どうしたらいいかわからない…わかる!全部ではなくてもこれらに共感する部分があるのではないでしょうか。
自信が持てなくて泣いていたひな子が変ろうと努力する姿は、今そのことで悩んでいる人や昔そうだった人の心に響くと思います。

②ゆっくりと少しずつ変化していく2人の関係

「誰か助けてよぉ」と路上で泣いていたひな子に声をかけ、励ましたのが職場の先輩である佐藤あさひ。ここからただの職場の先輩後輩から少しずつ関係が変化していきます。お互いに正反対にいる存在だと思っていたのに意外と同じことで悩んでいたりすることってありますよね。それを知って身近に感じ、今までの距離感とは違う2人になれたりします。これまでは仕事の話しかしなかったのに家で一緒に食事をしたり、個人的な悩みを相談したり、お弁当のおかずをわけたり。
本当に少しずつなのでもどかしい感じもしますが、日常のほんの一部だった相手がどんどん増えていく過程を楽しみつつ、それぞれの気持ちの変化がみどころです。

③無自覚な2人

ひな子もあさひも自分の気持ちに鈍感。それにはそれなりの理由があるのですが。ひな子の場合は今までも書いてきた通り、自分に自信がないのでそうなりますよね。あさひの場合は自分の人生から「恋愛」を排除しているようです。幸せになってほしいひとがいるから。
無自覚な2人のやりとりは見ていて微笑ましいです。というのもふとした時にどちらかが赤面するような言動があるから。今後自覚していくと変わっていくのでしょうが、この初々しさがたまりません。

おまけ あさひとすばるの姉妹愛

おまけと言いつつも私としてはかなり推したい2人の関係。
すばるはあさひの妹です。お姉ちゃん子でコミュ力が高く、あさひやひな子とは違ったタイプの女の子。無自覚なあさひをいじったり、ひな子にあさひの職場とは違う家での姿を暴露したりして、2人の距離を縮めるために活躍します。あさひへの愛が感じられる抜群に可愛らしい子です。そして、先ほど書いたあさひが幸せになってほしい人はすばるのこと。
お互い思い合っています。それほど多くはないですが2人のやりとりもぜひ注目してほしいです。

個人的感想など

鈍感な2人を見守るのはとてもじれったいです。でも、それがリアルに近い感じがして心地よくもあります。恋愛で急展開なんて稀だと思うので。恋愛に臆病になっているひな子と恋愛に関心のないあさひが自分の気持ちに気づくのはどのタイミングなのか興味深く見守っていきたいです。素直な2人で駆け引きとかできそうにないので、お互いに自覚してからは展開が早いだろうなと勝手に予想しています。
今のところ「キュン」度はそこまで高くないですが、初めて恋する女の子を描いた少女漫画的なものを感じます。
社会人百合好きな方、恋に臆病になっている方、2人の関係の変化をじっくりゆっくり見守りたい方、ぜひ読んでみてください。


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