春とみどり(1)~(2)優しさに包まれる同居百合漫画

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家、仕事、学校、家族、同僚、友だち。
居場所って「場所」だけではなく、「人」ってこともある。
それでも、自分には居場所がないと感じてしまう人もいますよね。
すべての人がそれを寂しいと感じるかどうかはわかりませんが、多くの人は自分の居場所を求めています。
誰かが作ってくれた居場所もいいけれど、自分で誰かのために居場所を作るのも悪くない。
誰かのために作った居場所が自分のための居場所にもなるから。

※ネタバレ含みますのでお気をつけください※


こんな人におすすめ

・居場所がないと感じたことがある人
・優しさが欲しい人
・繊細なお話が好きな人

作品概要

作品名:春とみどり(1)~(2)
作者:深海 紺
出版社:フレックスコミックス

あらすじ

人づきあいが苦手で居場所がないと感じているみどりは、中学時代に好きだった親友・つぐみの葬儀で彼女の娘・春子と出会う。
かつて自分に居場所をくれたつぐみ。
母親を亡くし、ひとりになった春子。今度は春子のために居場所を作ろうと、みどりは春子を引き取ることに。
居場所がないみどりと居場所をなくした春子の同居生活が始まる。

おすすめ見どころポイント3選

①居場所がないふたりの寂しさ

最低限の人との関わりの中で生きているみどりと母親を亡くしてひとりになってしまった春子。
ひとりである理由は違うけれどどちらも居場所のない寂しさを感じています。
同居生活の中でどのようにお互いに寂しさを埋めていくことができるのか。
心の動きが細やかで温かく、柔らかい。

②優しさで人の閉じた心が開ける

14歳の春子はしっかり者。唯一の家族だった母親を亡くし寂しいはずなのに、強気な性格で素直になれない。
それをみどりが優しさで向き合うことで固く閉じた心を開いていきます。
無理やりではなく、みどりのもともとの性格だからこそできる技。
人づきあいは苦手だけど、中学時代に春子の母親・つぐみからもらった優しさがみどりを優しくさせている。

③誰かを通して人を見ること

みどりは中学の頃に自分に居場所をくれた春子の母親・つぐみを春子の中に見ています。
見た目がそっくり、つぐみがくれた言葉を春子が同じようにくれる。
みどりは春子自身ではなく、春子の向こうにつぐみを見てしまっています。
それを感じとってしまった春子はどんな気持ちになるのでしょう。

個人的感想など

苦しさもあるけれど、とても繊細でとても優しいストーリーです。
寂しいと感じている2人がお互いを思い合った行動をして、その思う気持ちのせいですれ違ったりして。
少しのすれ違いが心を動かします。
もどかしさも感じますが、すがすがしさも感じました。
春子はさっぱりした性格、みどりは内向的な性格で正反対だけど、うまくハマるところがあるせいでしょうか。
みどり、春子、つぐみの3人の優しさで成り立っている2人の日常です。
あいだあいだに登場するみどりとつぐみのストーリーもとても心和みます。
優しさに包まれる作品でした。